第38回 仲間の作品コンクール 俳句の部

<田中 千恵子 選>

金賞今日の芥へそまで入りて冬至風呂神田 春之さん(足立支部)

 12月であれば、職人さんとはいえそれなりの冬着を着ていたことだろう。風呂に入ってみると、何と「へそ」の中にまでゴミが入っていた、と。今日は冬至で風呂はゆず湯である。きれいになったへそに、ゆずの香がさわやか。

銀賞垣根結うまっ更の足袋初仕事坂本 正美さん(三鷹武蔵野支部)

 新年を迎えての初仕事は垣根の手入れ。大仕事ではないが、「まっ更の足袋」に、今年も頑張るぞ、の心意気がこもる。

銅賞コロナ禍と天災の地に月光る岩武佐代子さん(多摩・稲城支部)

 コロナ禍と大雨・地震など次々と天災に見舞われると、地球がおかしくなってしまったのでは、と思ってしまう。今年の2月現在、コロナ感染者は全国で10万人を越えた。一日も早い収束を、と願わずにはいられない日々である。

佳作初仕事妻の威勢に押し出され田中 明さん(大田支部)

佳作屋台灯も人もまばらや三の酉間邊美恵子さん(豊島支部)

佳作花筵男ばかりのコップ酒小泉 建一さん(三鷹武蔵野支部)

佳作寒風に韋駄天車夫の梅祭り比留間 哲さん(台東支部)

佳作初参りコロナ撃退願いこめて深作 清美さん(練馬支部)

 一句目、仕事始めのその朝、奥さまの「威勢」のよさに押されぎみ。いいご夫婦の姿だ。二句目、三の酉まである年は火災が多いといわれるが、昨年はコロナで、酉の市も祭りも商売にならなかった。三句目、花見には、男女のにぎやかさとお酒ですよね。来年は女性もご一緒に。四句目、「韋駄天車夫」とは元気がいい。若い車夫のさわやかさ。五句目、「初参り」にも人が密にならない手配があった。神に仏に、願うことは収束のこと一つである。

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