第40回 仲間の作品コンクール 俳句の部

<田中 千恵子 選>

金賞出初鳶木遣りにのせて空に舞ふ田中 明さん(大田支部)

 空中高く舞う出初鳶の技には、見ている者が手に汗を握る。威勢のいい男たちの木遣節は、新年の清らかな空気を更に清めるようだ。新年を祝うこの儀式は、鳶の職人だけでなく、日本中の人々の正月行事である。

銀賞音や確か仕事始めの竹を割る坂本 正美さん(三鷹武蔵野支部)

 作者の仕事は造園業。割った竹の音でその竹の特質を瞬時に掴む。仕事始めのその日の竹は、作者の耳をよろこばせる心地よいひびきだったのである。慶賀。

銅賞モズの声居座る季節そろり立つ木村 磯子さん(清瀬久留米支部)

 昨年の夏は長かった。猛暑が続き、このまま夏が果てしなく続くのでは、と思えた。そんなある日、秋の鳥のモズの声が。「居座る季節そろり立つ」の実感に共感した。

佳作職人の技の見せ場のどけん祭り三浦 玲子さん(多摩稲城支部)

 集まった子ども達に、どんなステキな技を見せたのだろう。目をかがやかせたその子はやがて、「どけん」の仲間になるかもしれない。

佳作エアポート二人の笑顔明日を見る濱田 和男さん(荒川支部)

 空港での恋人の姿。見つめあい笑いあう二人の未来は輝かしいものに。

佳作短日や工具積み込むライトバン神田 春之さん(足立支部)

 冬の昼間は日が短い。今日の仕事の段取りを思うと、一分でも早く出かけたい。その思いが見える作品。

佳作セミ合唱負けじと声出す大集会浪江 紀之さん(足立支部)

 どけんの仲間との集会だろうか。いつの間にかセミの鳴き声に押されぎみ。「負けじと声出す」が良い。

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