<亀井 正樹 選>(佳作入選者は順不同)
風景の部
【特選】「ドラゴン伝説のある谷で」
龍か大蛇か、魔界の生き物をも連想する巨木の様相に驚愕します。自然が編み出す不可思議な創造に魅せられつつ、題名に付け方も作品の魅力を増幅させています。
【一席】「佃島風景(船留り」
バブル期に再開発された佃島には江戸前の漁師町の風景が残ります。高層建築に立ち向かうように並ぶ小型船の姿に今なお“健在”を誇示している様です。
【二席】「地下宮殿」
河川氾濫の対策として作られた首都圏外郭放水路の内部の 写り込む人物からその大きさがわかります。宮殿と感じた題名の付け方も上手です。
【三席】「姥捨の棚田 黄金の稲穂」
棚田の風景にバイクが入ったことで物語が膨らみます。絵に描いたような雲と山並みも美しく、満ち足りたツーリングであることが伺えます。
【佳作】「飯給駅 桜の夜景」
【佳作】「桜にメジロ」
【佳作】「巴波川のこいのぼり」
【佳作】「秩父長瀞のライン下り」
【佳作】「氷の世界」
<部門選評>
自然をテーマにする作品が多くありました。風景写真は身近な場所にも思わぬ “小風景“が存在しています。それを発見できるか否かは作者の感性です。時間帯や天候、光の当たり方で様々に変化するのが風景の面白いところです。誰もが撮るような、どこかで見たような写真ではなく、あなたの感性と創意に富む作品に挑戦してみてください。
スナップの部
【特選】「弟ができた」
弟の誕生に喜ぶ兄。その背後で、遊び相手を弟にとられてしまったのか不満顔のワンちゃんとの三角関係が面白い写真です。
【一席】「ちっちゃ~い」
赤ちゃんの両足とそれを包む手。意外な組み合わせの作風に、この足で人生を歩む我が子への願いや期待が伺えます。足の指輪も親からのメッセージでしょうか。
【二席】「お友達?」
目の前のトンボを捕獲するか否かはわかりませんが、会話するような両者が近接する瞬間を撮りました。採餌の生々しい現場よりお友達のほうが安心して見られます。
【三席】「アオハル」
仲間との時間を満喫するのは「青春」という昭和風の呼称より「アオハル」とアレンジするのが似合います。夏の終りの夕刻が、残された学生時代の時間を感じさせます。
【佳作】「富士山高岡市万葉線」
【佳作】「戸隠村山の蟻の塔渡り」
【佳作】「寝ていてもハイポーズ」
【佳作】「どれにしようかなあ」
【佳作】「幸せな日」
<部門選評>
一期一会のごとく、心引かれた瞬時の世界がスナップ写真の醍醐味です。いつ、どこで遭遇するかは未知数です。スナップ写真で知られる写真家・ブレッソンは日頃からカメラを持ち歩き、日常の中の非日常を発見していました。みなさんもここ一番の瞬間と出会った時、躊躇なくシャッターを押してみましょう。
組合活動の部
【特選】「師匠!」
説明をする親方を前に、正座して話を聞く少年の姿が健気でかわいいです。やがてこの子も職人となるかも知れません。木工教室とはいえ、教えていただくなら師匠です。その関係をユーモラスに撮られました。
【一席】「いざ出陣!」
1964年の東京五輪のポスターに似た構図のものがありました。競い合う姿を撮る良い位置であり、選手らの表情がよくわかります。これを「いざ出陣」という組合運動らしいタイトルで作品とした作者のねらいもおもしろいです。
【二席】「たのしい箱作り」
もの作りの喜びは幼い頃から体験させたいものです。支部活動は組合員の要求実現だけでなく、イベントを通じて地域とのふれあいも大切にしている事が伝わります。
【三席】「じゃんけんポン②」
勝敗の結果を如実に物語る写真です。背後にいる二人の存在もその場の様子を引き立てています。大人たちが童心に戻った決定的瞬間の面白さを表現した作品です。
【佳作】「僕のみかん・・」
【佳作】「あ~危ない大丈夫ですか?」
【佳作】「落ち穂ひろい」
【佳作】「拡大に燃える組織部長」
<部門選評>
三部門の中では応募数が少ないのですが、仲間たちの姿やイベントをテーマにした作品が見られました。組合活動の部は多彩な作品が期待できる分野だと思います。 住宅デーや工作教室での参加者とのふれあい。集会や企業交渉、裁判闘争など緊張感あふれる場面や涙する光景など。心に響く瞬間を発見すれば、すばらしい作品となるはずです。
課題:アツい!
【特選】「アツイ結束」
【一席】「陽に向かって」
【二席】「ゼッタイ!!勝つぞ」
【三席】「アツい!娘を撮る父」
【佳作】「祭りの兄弟」
総評
前回を上回る345点の作品が寄せられました。多くは「風景の部」と「スナップの部」の応募ですが「組合活動の部」でも面白い作品が並びました。 気になる被写体や美しく心引かれる光景を発見した時、しっかり撮られたものや感性に任せるままシャッターを押した決定的瞬間など、創作意欲豊かな作品がそろいました。 写真も文学、音楽、絵画と同じく表現手段のひとつです。文化活動は心を豊かに導いてくれるものです。これからも写真での創作活動を楽しんで下さい。