風景の部
【特選】「枯露柿(ころがき)」
晩秋の陽に照らされて並ぶ干し柿の様子を縁側から画面いっぱいに撮りました。色づく柿とその影が作り出す光景に静かな秋を感じます。作者のコメントには山梨・塩山地域での呼び名が「枯露柿」とのこと。日本家屋の作りと伝統的な干し柿の組み合わせが古き良き日本の風景と季節感を演じています。
【一席】「星峠の棚田の雲海」
越後・星峠の名所、棚田の風景と雲海という巡り合わせを作品にしました。静かに時間が過ぎるような光景を前に、手前左側の草木に右側のススキをバランス良く構図に収め遠近感の演出を上手に加えました。
【二席】「お出迎え」
かかしは鳥獣類から作物を守るため擬人化したものです。観光地ではオーバーツーリズムが話題になっていますが、旅行客を前に歓迎するようなポーズで並ぶかかしの姿にお出迎えという友好的なタイトルでまとめました。
【三席】「白馬連峰、春の訪れ」
ツーリングの途中で遭遇した景色である事がよくわかります。北アルプスと一本の木立だけでは絵はがきの様な世界になりますが、バイクが入ってきたので物語が膨らみました。愛車を入れて残したい景色だった作者の思いが感じられます。
【佳作】「銀金銅」
【佳作】「頑張っている木」
【佳作】「霧氷の華」
【佳作】「長屋からタワマンを見上げる」
<部門選評>
近所の小風景から旅先で出会った壮大な風景など数多くの作品が集まりました。カメラを持つあなたの前で、撮らずにはいられないと心を揺さぶられに違いありません。どの作品も素晴らしいものばかりです。感動的な風景を目にしたときに「ただ撮った」で終ってしまうことは記録での撮影にとどまってしまいます。そこにあなた自身の表現力が加わることで作品として昇華していきます。こだわりの写真を試みて下さい。
スナップの部
【特選】「じいちゃん大好き」
孫たちの遊び相手とされ、おもちゃにされ、しかしそれこそが喜びである祖父の幸せである様子を写した作品です。暖かい日差しの光線やちらばったおもちゃや段ボールもその場の雰囲気を引き立てており、手前の子のポーズが決まりました。
【一席】「家族写真」
大空に描かれる虹に目がとまりますが、本題は大地に延びる4人の影です。その表情はわかりませんが影に写し出されるポーズから和気あいあいとした家族像である事が伺えます。それを祝福するような虹。感性と表現力豊かな作品です。
【二席】「あわてないで!」
玄関の外に関心あるワンちゃんに、ゲージを乗り越えないでと制止するような坊や。兄弟のような関係を暖かく見つめた作品です。これからの二人が成長してゆく記録が楽しみです。
【三席】「美人の湯はよかったね!!」
温泉場の磨りガラスに素通しされた「女」の文字から外界を見つめた面白い発想です。そこに写る浴衣姿の淑女たち。不思議そうに撮影者の行為を見つめる視線に両者の関係も気になる面白い作品です。
【佳作】「元気いっぱい」
【佳作】「どれにしようかな~」
【佳作】「スポットライト交換工事」
【佳作】「お兄ちゃんになったよ!」
<部門選評>
人物、動物、風景など日常目にする中から気になる一瞬を切り取った作品ばかりでした。慌てて撮ったためにブレてしまったものや、構図が傾いてしまったものもありましたがスナップ写真は一期一会の出会いです。心引かれた瞬時の世界に思わぬ光景の発見がスナップ写真の醍醐味です。失敗に負けず日常にある非日常の場面を発見した時、躊躇なくシャッターを押してみましょう。
組合活動の部
【特選】「境界線」
フェンスの先は治外法権の米軍基地です。日本国内でありながら“国境”を思わせる場所は沖縄・辺野古の浜。警備するのは日本人、米軍の施設のために互いに対峙しあわなければならない不可思議な光景とともにフェンスの先を見つめる男性の姿が「抵抗」を感じさせ、基地問題の現実を端的に表現しました。
【一席】「試食ですか~それとも?」
支部65周年のイベントでの出来事とのことです。せっかく焼いたのに、周囲の無関心にやけ食い? もしくは試食?唯一の赤いシャツが目立つ上に、焼き鳥を食する表情の面白さがコミカルな物語を作りました。
【二席】「枝落し」
高所作業車のバケットから高木の枝落としする作業の全体像を見せるために、広角レンズでの遠近感が効果を発揮しました。地面が見えないだけに、いかに高い場所での仕事であるかという実情を見る人に抱かせます。巨木ゆえに、人物との比較からその枝の太さにも驚愕します。
【三席】「師匠研ぎ方これで良いでしょうか?」
イベントの準備において刃物の研ぎ方を教わる様子でしょうか、二人の身振り手振りから声までもが聞こえてきそうです。背後から二人のやり取りを眺めている男性の存在も一役かっておりユニークな一瞬を撮った作品です。
【佳作】「楽しかった分会旅行の帰り」
【佳作】「視線は一点!」
【佳作】「塗り際の魔術士」
<部門選評>
組合での行事や仕事の様子での作品が並びました。集会やデモ行進の場面などの写真では機関紙に記事とともに掲載するには適した写真も数多くありました。コンクールの作品となれば記事がつきませんので、写真そのものに主体的な力を持たせることが大切です。住宅デーや工作教室などでの参加者とのふれあい。集会や企業交渉など臨場感あふれる様子や涙する光景など。心に響く瞬間を写真にすれば、素晴らしい作品となります。
課題:憧れ
【特選】「夢見る大スター」
【二席】「宮大工建築の格子天井」
【三席】「僕の憧れはパパ」
総評
348点もの素晴らしい作品が寄せられました。多くは「風景の部」と「スナップの部」の応募ですが「組合活動の部」でも面白い作品が並びました。審査では賞候補を絞り込むのも判断に迷うこともしばしばありました。 写真も文学、音楽、絵画と同じく表現手段のひとつです。「ただ撮った」の次元で終らせてしまうにはもったいない光景を前に、カメラを持つあなたの感性と表現力が試される場です。文化活動が盛んな組合は元気な証のひとつと私は思います。これからも写真での創作活動を楽しんで下さい。