第41回 仲間の作品コンクール 短歌の部

金賞ガザの児のなぜ殺すのか問う眼にも 大人の欲が砲火あびせる篠田 綾子さん(葛飾支部)

 ガザの惨状を児どもの視線で歌っていて、その批判は厳しい。マスメディアを含めて、その児らの視線には、まっとうに答えられない。

銀賞猫の眺る世界を我れも見てみたく 床に寝転び窓の外見る岩武 佐代子さん(多摩稲城支部)

 夏目漱石の『吾輩は猫である』の世界、仮に猫の目になったと人間が思っても、所詮は人間は人間の目を脱することが出来ない哀しみが漂う。

銅賞雪残る山道塞ぎただじっと 目線遭わせたカモシカ痩せて木村 磯子さん(家族 清瀬久留米支部)

 結句、読んでいて痛いほどに響いてくる。ただじっと目線を合わせた作者とカモシカ。作者はカモシカに押されている気配。

佳作ゴヘイスラ鉄骨吊上げ空高く この町にまたビルが建つ村山 薫さん(江戸川支部)

佳作年の瀬に書きとめおいた年頭の 文字を見返しハッとする僕三角 幸太郎さん(日野支部)

佳作三百円われよりせしめ男去り 貧しさ地上を見てたちあがる山田 訓さん(北支部)

佳作通勤の足取り確かに歩く道 連れが見送る枇杷の実の道大里 輝男さん(多摩稲城支部)

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