金賞ガザの児のなぜ殺すのか問う眼にも 大人の欲が砲火あびせる
ガザの惨状を児どもの視線で歌っていて、その批判は厳しい。マスメディアを含めて、その児らの視線には、まっとうに答えられない。
銀賞猫の眺る世界を我れも見てみたく 床に寝転び窓の外見る
夏目漱石の『吾輩は猫である』の世界、仮に猫の目になったと人間が思っても、所詮は人間は人間の目を脱することが出来ない哀しみが漂う。
銅賞雪残る山道塞ぎただじっと 目線遭わせたカモシカ痩せて
結句、読んでいて痛いほどに響いてくる。ただじっと目線を合わせた作者とカモシカ。作者はカモシカに押されている気配。