風景の部
【特選】「飛雪」
写真は「感性と表現力」とも言われますが、シャッター速度の効果を知っているからこそ意図的な結果を作品に吹き込みました。モノトーンの冷淡な世界ながら、屋形船と街明かりの赤い灯が生活感の息吹を感じさせます。東京の珍しい雪景色を特異な方法で作品化しました。
【一席】「光の航跡」
近未来都市を思わせる光景に進行する船舶の航跡を長時間露光で撮影することにより、空間全体が美しく躍動的に見えてきます。構図の考え方もバランス良く調和がとれており、露出の計測と設定を操りながら作者のねらいを映像化した作品です。
【二席】「ポツンと一軒家」
山小屋ではないか?とわかりつつも、秘境のような場所に存在する生活感という異色の組み合わせに好奇心も抱きます。同名のテレビ番組を引き合いにしたユーモラスなタイトルで楽しんで鑑賞できる作品です。
【三席】「息をのむほど美しい風景」
冬の大自然を満喫できる風景です。美しさの中にも山岳の陰影が見せる威勢や、植物を覆う霧氷の跡や積雪の光景は自然の厳しさをも表しています。湖面が結氷していないので写し出す対称的な山の姿も華麗です。
【佳作】「世界遺産ホイアン旧市街」
ランタン祭りで有名な町です。昨今は観光行事のようですが、本来は先祖を祀り、魂を見送る伝統的な儀式とも。歴史的に日本との関わりの深い由縁か、灯籠流しを思わせる幻想的な光景です。
<部門選評>
身近な小風景から旅先で目にした風景、大自然が織りなす素晴らしい風景など様々な作品が集まりました。「これは撮らずにはいられない」と心を揺さぶられシャッターを押したに違いない素晴らしい作品ばかりです。感動的な風景を目にした時、シャッターを押しただけでは「ただ撮った」で終ってしい、記録撮影にとどまってしまいます。そこにあなた自身の表現力が加わることで作品として一歩進化するものです。これからも、こだわりの一枚を試みて下さい。
スナップの部
【特選】「きれいなお姉さん」
舞妓さんがそろって手を振る姿に、幼い子どもはどんな顔で二人を見ていたのか想像するのも楽しい作品です。「きれいなお姉さん」とは、まさに幼い子の視点でしょう。やや傾いてしまった構図が、瞬時の出来事を印象づけ、母親の笑顔もその場の雰囲気を引き立てています。
【一席】「こんなところでお昼寝ですか?」
一見すると事故現場と見間違えるブラックユーモアの様です。余計な情報を入れることなく、猫とタイヤだけの光景が作品をわかりやすくしました。涼しければ所構わずという猫のおおらかさに癒やされます。
【二席】「ん~!取れない」
パン食い競争に悪戦苦闘する子どもたちの無邪気な様子を撮られました。二人の異なる姿勢と表情の面白さに背後のギャラリー、パンをつるすひもを持つ女性の様子といい一枚の写真にそれぞれの様子が見事に共鳴している作品です。
【三席】「つながる心、つながるジャンプ」
分断や孤立が問題化する昨今ですが、旧来からの素朴な遊びの中にこそ、心をつなげる楽しさがあることを作者のタイトルから感じます。子どもたちそれぞれの表情と躍動的なポーズの面白さ。見守る大人たちの様子など、この瞬間に皆が一体化していることがわかります。
【佳作】「水鏡み」
記念写真の一端にもそれぞれの個性が表れています。さらに水面にもうひとつの集団が写り込んでいる面白さ。背後の紫陽花も、水たまりが存在する季節に似合っているで違和感ありません。タイトルの付け方も面白いです。
<部門選評>
相手に気づかれることなく(気づかれてもOK)、自然体で見せる一瞬の面白さを撮るのがスナップ写真です。気になる光景や決定的瞬間の作品が揃いました。タイトルの付け方で作者の思いが先走りしてしまい、作品とややかけ離れたタイトルも見受けられました。 慌てて撮ったためにブレてしまったものや、構図が傾いてしまったものもありましたがスナップ写真は出会いが大切です。ここ一番と心引かれた光景と出会った時には躊躇なくシャッターを押し、見たままのタイトルで飾れば素晴らしい作品となることです。
組合活動の部
【特選】「住宅相談中」
住宅相談の様子を中心に撮りながらも、その奥で並ぶ行列やテント内のご婦人方、雑談する男性方の様子など同一画面の中で様々な光景が展開されており、このイベントの活気を伝えています。相談に対応する組合員の笑顔からも、話もいい方向に進んでいる安心感を伺えます。
【一席】「皆んなでハガキ書き」
1日の仕事を終え、疲れながらも仲間と集まっては、皆で補助金要請のハガキ書きでしょうか。話を交わしながらも黙々とペンを取る姿のかたわらには、袋に入った菓子類やペットボトルの差し入れもあり、夜の事務所での雰囲気を感じる作品です。
【二席】「点火」
イベントでのキャンプファイアーでしょうか。親子で一斉に点火する場面は子どもたちにとっても思い出に残ることでしょう。松明だけの光でもブレることなく、ストロボ無しの自然光によりその場の雰囲気を活かした作品となりました。
【三席】「師走の総がかり行動」
威厳を誇示するようなライトアップで装飾される国会を前に、街灯の下に集う市民らの対比が格差を象徴するかのようです。師走の寒さの中でも立ち続ける人々の姿が抵抗を感じさせます。
【佳作】「住宅デー」
これから始まる住宅デー。奥のテントで大人たちが準備に忙しい中、子どもたちはお手伝いのような、遊びのような様子に興じてはしゃぐ声まで聞こえてきそうです。一瞬の中にそれぞれの様子が展開されています。
<部門選評>
組合での行事や集会などの作品が並びました。機関紙の紙面に掲載するには良い写真も見られましたが、コンクールの作品になると記事も付きませんので、写真そのものに主体的な力を持たせる必要があります。 枚数としては3部門の中で最も少なく、組合での行事を撮る機会こそ減っている感じがします。住宅デーやハイキング、運動会など絵になる行事とともに、事務所での会議の休息時間や仲間が機関紙を作っている姿など、何気ない場面でも面白いシャターチャンスが存在するかもしれません。そんな写真が10年、20年と重なれば貴重な組合の歴史にもなることでしょう。
課題:アツい!
【特選】「ハーフバースデー」
【一席】「どこまでも」
【二席】「両腕しあわせいっぱい」
【三席】「透しほうずき」
【佳作】「お姉さん優しくしてね」
総評
今年も多くの作品が寄せられました。スマートフォンのカメラ機能やデジタルカメラの軽量化も進み、日常的に撮影を楽しむことができる時代となりました。応募作品もそれを裏付けるように家族や子ども、旅行先での風景、組合イベントや集会などが多数見られました。適度な露出やシャッター速度をカメラが設定してくれるので昼夜に問わず、ほどよい仕上がりの写真が完成するのですが、表現力を活かした作品は減ってきたようです。過去には躍動感を見せる「流し撮り」や背景をぼかして主題を浮かせるような絞りの使い方など作者の独創性が作品を引き立てていました。
難しい撮影技術がなくてもアングルの違いや遠近感の誇張などでも画面の世界観が大きく変わります。写真も表現手段のひとつです。「ただ撮った」で終らせず、感性と表現力で他者が撮れないような作品を目指して、これからも創作活動を楽しんで下さい。



















