第42回 仲間の作品コンクール 俳句の部

金賞缶コーヒー焚火禁止の掌を温め神田 春之さん(足立支部)

職人さんたちの朝は早い。以前は焚火をして体をあたためたものだが、今はキャンプ場など特定の場所でしか焚火は出来ない。そんな昨今だが、かじかんだ「掌」は「缶コーヒー」で温める。互いに好きな飲みものを自動販売機から出して、笑顔で飲みあう。今日的な風景である。

銀賞春泥をきて地下足袋の重さかな田中 明さん(大田支部)

「春泥」は春の雪解けや霜解けなどによるぬかるみである。そのぬかるみを「地下足袋」が吸って、重い重い。春泥の先には春が来ているのだが、地下足袋の職人さんたちにはきびしい季節だ。

銅賞棟上げやなほらひ続く居待月新藤間 洋子さん(台東支部)

新築の家を建てるときの「棟上げ式」。その神事の後の宴会は「なほらひ」といわれている。棟上げに至るまでの職人さんは無論のこと、かかわったすべての人々が、笑顔でお神酒やご馳走をいただく。祝宴は月光の下でいつまでも。

佳作羽織の龍飛ぶがごとくに七五三清水 萬里子さん(足立支部)

「七五三」のお祝いで、男の子が着た「羽織の龍」は大空に飛び立つようだ、と。子の未来を鮮やかに描いた。

佳作干し柿が障子に甘き影落とし石川 英隆さん(狛江支部)

軒に吊された「干し柿」が徐々に甘くなってゆく。その景を「障子に甘き影落し」と描写。逸品である。

佳作歳晩や灯りの消へぬビルの街間邊 美恵子(豊島支部)

「歳晩」は年末のこと。ビルの灯も街の灯もいつまでも灯っている。気ぜわしい日をくぐって新年を迎える。

佳作迂廻路のふいの逃げ水足捕られ木村 磯子(清瀬久留米支部)

「逃げ水」は蜃気楼のようなもので、近づくと遠のいてしまう。掲句では、無いはずの逃げ水に「足を捕られ」た、という感覚がユニークである。

佳作春風が君の背中で立ち止まり濱田 和男さん(荒川支部)

ドラマの一場面のようだ。幸せ色にふわりとつつまれたような女の子の姿がいとおしい。

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