第42回 仲間の作品コンクール 川柳の部

<選&選評 高鶴礼子>

金賞失敗の数だけ増える宝物中野 敬子さん(調布支部)

こんなふうに思えるということの素晴らしさ。「失敗」という事態を、負の側面としてのみ捉えて落ち込むのではなく、それは改善し得る余地がある伸びしろと捉えて自身を見つめる、その姿勢の前向きさに、ただただ打たれます。ここに描かれた自己対峙の在り様は、「生きる」ことに誠実であることを、そっと教えてくれています。

銀賞除染水 元素記号が水じゃない橋本 博之さん(調布支部)

状況への異議申し立てを、このような角度から果たしておられる。「これは除染水だから害は無いのです」という主張を前に、化学式に基づいて不安を投げかけるその説得性に打たれました。分離することが困難な水素の放射性元素が存在している現状への問題提起と、原子力発電という存立機制の危うさに対する指弾を、確と受け止めさせていただきました。

銅賞夢に見る夢で会える日亡き母に山田 キミ子さん(調布支部)

亡きお母様に対する切なくも温かい思いに、じぃんとなりました。単に「夢に見る」だけでなく、「夢で会える日」を「夢に見る」と綴ることで、母と過ごした一瞬一瞬がどれほど掛け替えのないものであったかが伝わってきます。築かれた母子の関わりの豊饒さと温かさを感じる一句です。

佳作血税を無駄に使っていませんか海藤 佑樹さん(調布支部)

佳作過ぎ去りし思い出残し仲間消え濱田 晴恵さん(荒川支部)

佳作汚染水 お魚たちの息上がる原 賢造さん(調布支部)

佳作基地あって何も良い事ありません廣澤 基さん(調布支部)

佳作銃よりも言葉を持てと伝えたい永井 駿介さん(調布支部)

総評

 今回も大勢の方が川柳と向き合ってくださったことを嬉しく思います。 佑樹さん、必死で納めている「血税」を無駄に使うことへの直截な物言いに惹かれます。晴恵さん、仲間との別れの切なさが募ります。でも共にした「思い出」は消えずに存在し続けてくれます。賢造さん、人間以外の生き物にまで多大なる迷惑を及ぼしている現状への視座の深さにハッとさせられました。基さん、「基地」の創設や維持が果たして誰のためなのか。そのお金を困窮する人のためにという主張に強く賛同します 。駿介さん、人間には「言葉」があるのに、意志を押し通すために銃を持ち出す愚行。語り合うことで誤解や思い違い、思慮不足を解消していく方向こそ堅持すべきと強く思わされました。

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