<関 次男 選>(佳作入選者は順不同)
風景の部
【特選】「古民家の三月」
古民家資料館の内部だそうですが、煙と囲炉裏の火、奥座敷の雛段飾りなどの赤が効果的に写し込まれ、写真のアクセントとなっています。板の間の写り込みも写真的効果を増しています。ストロボなどを使わず、自然の明かりで撮影したことで、観た通りの独特の雰囲気を写真化出来、味のある写真になりました。ランプや時計なども古民家のたたずまいを効果的にしてくれています。
【一席】「鍾乳洞!!」
下方に喫茶コーナーを写し込んだこと、自然の光で撮影したことで鍾乳洞の凄さが強調されました。また、自然の物と下方のテーブルなどの人工物との対比も面白いです。迫力のある写真です。
【二席】「19号の爪あと」
台風の後の河原、増水の後だそうですが、よく見るとエビや魚の死骸も。自然の凄さを教えてくれる一枚です。上方に青空を少し写し込んだことで、台風一過が想像できます。自然の脅威を感じさせる一枚になりました
【三席】「両国橋」
鏡の様な水面とリベットや石材の橋の美しさ、単なる実用性だけでないものを感じさせてくれます。美しい一瞬を見せてくれました。下方の写り込みをもう少し少なくすると美しさだけではない、力強い写真になったと思います。
【佳作】「落桜の公園」
【佳作】「大沼公園から見上げる駒ケ岳」
【佳作】「スカーレット」
【佳作】「山輝いて」
<部門選評>
今回も、国内・海外といろいろな写真を見せていただきました。写真全体に言えることですが、出会いや発見で心が動いた時にシャッターが押されていると思います。その心の動きが写真というものに置き換えられているかどうか、自問自答することが大切です。映像化されないものは伝わりません。このことをよく、“写真にしゃべらせろ”と言います。写真がしゃべれば少なくとも撮影者の意図は見る人に伝わります。
スナップの部
【特選】「花嫁さんいっぱい」
お祭りでの一コマだそうですが、まさに“花嫁さんいっぱい”ですね。男性の顔を入れたり扇子を入れて画面に変化をつけたりと、画面を単調にしなかったところがいいですね。花嫁さんの手や顔の表情も画面に動きを付けてくれています。
【一席】「住宅で―」
墓石の修復だそうですが、スッキリとした明快な写真です。斜めの光線が墓石を浮かび上がらせてくれると同時にその材質までも描写してくれました。青空や枯れ草が季節感を物語ってくれています。
【二席】「クライミングの体験」
クライマーたちの格好と赤いヤッケが印象的な写真です。壁にしがみついたクライマーの姿勢も面白いです。クライミングの様子に終わってしまった感もありますので、クライマーの表情なども追ってみたら面白い写真になったかもしれません。
【三席】「庭木の手入れ」
立派な松の大木、冬晴れの中の庭木の手入れ。寒そうな様子が手に取るように伝わってきます。松と人間との対決を思わせる写真です。青い空が逆に寒さを強調するような効果となっています。赤い手袋がそれらを更に効果的に作用しているようです。
【佳作】「う~のび~る」
【佳作】「どっちがキレイ」
【佳作】「温暖化STOP」
【佳作】「蓮の花」
【佳作】「とるわよ」
<部門選評>
何かに出会った時に”オヤ“とか”アレ“とか思ったときは写真の題材に出会っています。何がそうさせたのかを考えていろいろな角度からシャッターを切れば、そのことが映像化されて写真になってきます。それは、観る人に伝わり、感動を与えたりします。
組合活動の部
【特選】「楽しいポスター張り」
スッキリとした清潔感のある写真です。主役に思いきって近づき、題名にある、“楽しい“を感じさせる人たちを奥の人物で説明するというフレーミングがいいですね。両者の動きのタイミングもいいです。ポスターに写っている人物も効果的でした。また、主役の人の服装も写真の清潔感を増してくれました。奥の赤いシャツが効果的に写し込まれています。
【一席】「丸田切り」
低い位置からの撮影が写真に力強さを出してくれました。シャッターチャンスがいいです・主役はあくまでも右の人というような、左の職人さんの入れ方がいいです。スッキリとした題名そのものの写真になりました。
【二席】「もうちょっと寝んねしててね」
お姉(兄)ちゃんの工作を手伝う母親、背中で熟睡する赤ちゃん、お姉ちゃん(お兄ちゃん)の姿はよく見えませんが、そんな母親の気持ちが伝わってくる写真です。覗き込むようにして撮影したことで背景が整理されて主題がはっきりしました。
【三席】「明るい未来」
左官作業の場面でしょうか、指導する職人さんの真剣な様子がよく伝わってくる写真です。“題名を感じさせる”ような右奥の職人さんの入れ方が効果的です。
【佳作】「ファミリー広場もちつき」
【佳作】「もちまき」
【佳作】「もちつき大会」
【佳作】「伝統を若い世代へ」
【佳作】「すごいな~」
<部門選評>
作品の数は多くありませんでしたが、撮影者の気持ちが伝わる作品が多かったように思います。写真は出会った時の撮影者の心の動きを映像化する作業ですから、写真のどこかにそんなものが必ず映っているはずです。それが、観る人に伝わるように写されたかどうかで写真の良し悪しが分かれてしまいます。そんなことに注意して写真を撮ったり、選んだりしてみて下さい。
課題部門「長年の夢かなう」
【特選】「日本百名山・達成」
【一席】「初めてのご対面」
【二席】「とったどー!」
【三席】「きまってる?」
【佳作】「カワセミ ヒナ巣立つ」
総評
写真を撮る時に“絵になる、絵にならない”ということを考える人がいます。そうではなくて、先ず、観る人に伝わるかどうかを考えることが大切です。何かを伝いたいという自分の気持ちを大切にすることです。そうして撮った写真は何かをしゃべっています。観て欲しい、知ってほしいという気持ちでフレーミングを考え、シャッターチャンスを待った写真は何かをしゃべっています。そんな写真は、十分か不十分かは別として何らかのメッセージを持って観る人と対しています。そんな写真を沢山撮っていただきたいと思います。写真を選ぶ時も同様です。