関 次男 選(佳作入選者は順不同)

◆組合活動の部

特選 「お父さんホームラン打って」 浅山了二 さん(江戸川支部)
1席「まっしぐら」 田山徳子 さん(練馬支部)
2席「支部アピール」 手捲文江 さん(多摩西部支部)
3席「昔なつかしポン菓子」 野津俊夫 さん(練馬支部)
佳作「棟上げ」吉野弘司 さん (西多摩支部)
佳作「どっちが女性?」 宮下 修 さん (練馬支部)
佳作「一位はどっち?」 吉川恭司 さん (練馬支部)

◆風景の部

特選「ファンタジー」 力武邦博 さん(江戸川支部)
1席「秩父大滝」 小野定康 さん(清瀬久留米支部)
2席「ライトアップの一の戸橋梁」 菅谷政一 さん (北支部)
3席「狩」 斎木康伸 さん (練馬支部)
佳作「冨士の流れ」 天野文夫 さん(西多摩支部)
佳作「朝の光」 笠原睦彦 さん (西東京支部)
佳作「相生」 末浪和美 さん(杉並支部)
佳作「春の日」 清水七郎 さん (小平支部)
佳作「ひまわり」 畠英 章 さん (墨田支部)

◆スナップの部

特選「娘が通る」 久保猛磯 さん(西多摩支部)
1席「あゝ気持ちいい」 内田健司 さん(西多摩支部)
2席「真夜中の神事」 荒井忠吉 さん(西多摩支部)
3席「小さな恋のメロディー」 原島正義 さん(西多摩支部)
佳作「家族」 鮫島正勝 さん(渋谷支部)
佳作「おじいちゃんしっかり撮ってね」 川中子行雄さん(江戸川支部)
佳作「初春に集う」 福井和彦 さん (世田谷支部)
*応募は、30支部81人・222作品です。

選評 関 次男

【組合活動の部】

特選〔お父さん!ホームラン打って〕浅山了二 (江戸川支部)

野球大会の応援の子供たちですが、父の打力を信じ切っている様子がそれぞれの表情から伝わってきます。それとなく写しこまれた応援グッッや選手、プラカードなどから、どういう大会かが見て取れます。同時にすばらしい親子関係さえ伺わせるような写真です。

一席〔真っしぐら〕田山 徳子(練馬支部)

まさに題名のとおりの写真です。顔の表情と宙に浮いた足の瞬間。満身を込めてという力が伝わってきます。シャターチャンスが良いです。カメラをもっと低くするなどして相手方とのダブリに気をつけるともっと迫力が出たでしょう。

二席〔支部アピール〕手捲文江(多摩西部支部)

何とか目立たせようとするそれぞれの格好が面白いです。特に旗を持っている人の何ともいえない姿勢が面白いです。真剣になればなるほど人間のやることは面白いものです。新宿、目黒の二人だけの方が真剣さが強調されたでしょう。

三席〔昔なつかしポン菓子〕野津俊夫(練馬支部)

祭りなどでよく見る光景です。あの瞬間は誰もがワクワクするものです。そんな瞬間を巧くとらえました。煙の形が面白いです。空の部分をカットするとそれぞれの表情がもっと生きてきたでしょう。
「選評」
今回は六十周年行事があったということで、応募枚数も増えたということですが、その類の写真が多く目につきました。行事を対象とした場合、どうしてもその様子を伝えようとしてしまいがちです。そのような写真は思い切って記録係などの専門家に任して、参加者の喜怒哀楽の方にレンズを向けるようにすれば、行事の形や様子だけではなく、その中身が写ってくると思います。見るものとしてはむしろそちらの方が見て楽しく、行事の本当の姿が伝わってくると思います。
日常の仕事や活動の場合でも、そのような感じで写真を撮るようにすれば、組合員さんの喜怒哀楽を通して組合が見えてくるのではないでしょうか。

【風景の部】

特選〔ファンタジー〕力武邦博(江戸川支部)

電車とイルミネーション、おもしろい組み合わせです。電車を流し撮りしてキャンバスに見立て、そこに電飾の絵を描いた。更にストロボを当てることで電車のボデーの色に変化を付けている。憎い発想です。踏み切りの安全棒や電車の窓ガラスに写りこんだ信号機の明かりも、単なる色や形だけに終わらせないで現実のなかの夢物語 というものを見せてくれています。発想、テクニック共にすばらしいと思います。

一席〔秩父大滝〕小野定康(清瀬久留米支部)

背景を黒一色にし画面を単純化したことで青みがかった氷の美しさが際立ちました。自然が作り出す美の妙を感じさせられます。多分その美しさに見惚れてしまったのでしょうが、少々あるがまま過ぎの感があります。例えばツララと水瀑、岩とツララというような組み合わせの写真も考えられたのではないでしょうか。

二席〔ライトアップの一の戸橋梁〕菅谷政一(北支部)

夜陰に浮かび上がった虹の懸け橋といったところでしょうか。それは昼間では見られない美しさだと思います。特に画面右側の色の変化は夜ならではの光景だと思います。左の方をカットするなりして、その辺をもっと強調しても良かったと思います。

三席〔狩〕斎木康伸(練馬支部)

一般にはネイチャー写真≠ニ呼ばれているような写真ですが、良い瞬間をとらえました。光線の良さも手伝って目がモノを言っているようです。背景の色合いも止まり木のゴツゴツ感も写真を引き立てています。
「選評」
今回も面白い写真を見せていただきました。特選の「ファンタジー」などは、今までにないユニークな写真だと思います。また、佳作の「冨士の流れ」「ひまわり」「朝の光」なども関心の在り方がはっきりしていてよかったと思います。
風景に限らず、撮りたいと思ったときには何かしら心を動かしたものが有る筈です。それを見極めて、他人にわかるように強調して撮る事が大切になってきます。そこのところを心してシャッターを押していれば、一枚で終わりということにはならないでしょう。やはり試行錯誤が必要になってきます。そうすることで新たな発見も生まれてきます。簡単に諦めたり納得しないことが、人の心を動かす写真を生み出すことにつながります。

【スナップの部】

特選〔娘が通る〕久保猛磯(西多摩支部)

取り合わせの妙というか、まさにお祭りならではのひとコマです。スナップ写真の醍醐味です。あっけらかんとした動きのある踊子と、釘付けになったような店の主人、その落差がなんとも面白いです。筆字の短冊や店構えも写真的効果を増しています。想像を超えるようなこんな写真は、見ていて飽きません。

一席〔あゝ気持ちいい〕内田健司(西多摩支部)

本当に気持ち良さそうな写真です。顔の表情、手のしぐさ、逆光に照らされた濡れた髪の毛、どれもが水浴しているこの子の気持ちを表現しています。プールの黄色も写真を爽やかにしてくれています。背景の花壇も効果的です。

二席〔真夜中の神事〕荒井忠吉(西多摩支部)

無我の境地、そんな情況が伝わってきます。特に中央の青年の表情がいいですね。漆黒の背景と水面に写った純白の下帯などが情況をより効果的に見せてくれています。

三席〔小さな恋のメロディー〕原島正義(西多摩支部)

色調、フレーミング、まるで童話の世界を見ているような写真です。姉弟でしょうか、姉はおねえさんらしく、弟はおとうとらしいそれらの仕草が何とも言えません。ほのぼのとした写真になっています。
「選評」
スナップ写真は面白い。今回の特選の写真に出会って改めて感じました。現実にはこのような場面が数多く繰り返されているのだと思います。ただカメラを持っている人がそれらを見留めて、シャッターを押すかどうか、他人に伝わるような写真にしたかどうかだと思います。
そのためには、そういう場面に出会いたいという気持ちを絶えず持っていること、そして、それらのことを写真にするということに習熟する努力、これらが求められます。才能とかセンスとかいう人がいますが、それは多くの場合、最後のことで、努力を重ねた人の方が良い写真をモノにしています。努力に勝るものはありません。
『総評』
最近は写真のデジタル化の普及で、誰でもが簡単に写真を撮る事が出きるようになりました。今回も数多くのデジタル写真に出会いました。それなりの写真もあれば、テクニックに遊ばれてしまった写真もありました。
何事もそうですが、技術の進歩は諸刃の刃で、使い方を間違うと大変なことになってしまいます。
例えばね写真に対する多くの人の認識が本物・本当の事∞記録だ≠ニされている現在、簡単に加工できるデジタルの技術をどう使ったらいいか、大変ム難しい問題です。また、デジタル化で容易に発信できるようになりましたがねその場合には、プライバシーや肖像権ということに十分な配慮が必要となります。
写真の最大の特性は、記録性にあると思います。瞬間々に消えていく森羅万象を写し止める。特に人々の行為、表情などには尽くすことのできない大きな魅力があります。それらはそれぞれの生きた証しとなり、時を経て歴史的記録ともなります。そんなことを頭の隅において写真を楽しんでいただけたらよいのではないでしょうか。