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俳句の部
敷地 あきら 選

選評 敷地 あきら

■金賞
墨打てば音まで寒く梁にビシ  木下 文夫(八王子支部)

【 評 】 日々、寒さのなか木造の本建築の現場であろう。寒さに耐えつつ建材の梁に墨糸を引く<墨打ち>に励む工匠・木下さんの鮮烈な姿、併せて、掲句、<梁にビシ>の効果か。なお必要な梁など積まれた建材の香りただよう建築現場の全景も見えてくる出色の職場俳句である。

■銀賞
人日ややっぱり洗濯してゐる妻   田中 明(大田支部)

【 評 】 正月七日。人の貴ぶ日。七種粥を食べて祝う。床・壁をタイル装飾の職人の作者、今日の早めに仕事を切り上げ、妻の「七種粥」楽しみに帰宅なのに<やっぱり洗濯してゐる妻>と気抜けにみせて、実は、妻の貴ぶおのろけかも。若々しい妻の洗濯姿に二度惚れ、否、三度惚れかもネ・・・。

■銅賞
地震はしばし空欄日記果つ   半澤 ハツ子(目黒支部)

【 評 】 <日記果つ>によせて、掲句<地震後はしばし空欄>と、日本人の心理的衝撃の大きさを象徴していよう。東日本大震災大津波により多くの命が奪われ、福島第一原発事故では、家や土地を捨て着の身着のままで避難生活を今もなお余儀なくされている人々のことを思わずにはいられない。

佳作

仕事着で冬の光の中歩く  濱田 和男(荒川支部)
鷺一羽離れて一羽冬の川  小山 敬吾(中野支部)
仮設家で相持ち暮らす桜花  山田 守(台東支部)
春暁の武蔵の勇姿スカイツリー  神田 春之(足立支部)
桜咲く頃退院と励まされ  島崎 真澄(西東京支部)