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写真の部
<関次男選>(佳作入選者は順不同〉

◆組合活動の部

特選「仲よくデモ行進」 柏葉 幸子さん【町田支部】
1席「署名にご協力下さい」 手捲 文江さん【多摩西部支部】
2席「分会もちつき大会子供達に夢を」 浅山 了二 さん【江戸川支部】
3席「伊豆熱川でカンカン娘?公演」 伊藤 和永さん【東村山支部】
佳作「お父さんがんばって」 渡辺 弘さん【練馬支部】
佳作「練馬支部ご近所交流もちつき」 八巻 幸雄さん【練馬支部】
佳作「頑張ろう東日本!私達も応援しています」 平沼 荘司さん【練馬支部】
佳作「おめえよ〜2011「木工教室」」 田 昌彦さん【墨田支部】
佳作「青年部もメーデー頑張ってるぞ」 清水 政廣 さん【多摩西部支部】

◆風景の部

特選「御岳渓谷の春」 荒井 忠吉さん【西多摩支部】
1席「池のほとりで」 野村 明雄さん【日野支部】
2席「あまやどり」 古舘 秀哉さん 【多摩西部支部】
3席「東京都のボランティア無料奉仕です」 小林 繁さん【板橋支部】
佳作「夕景」 渡邉 睦男さん【江戸川支部】
佳作「散花」 岸田 俊男さん【葛飾支部】
佳作「長崎の夜景」 近藤 祐樹さん【小平支部】
佳作「山梨県塩山市(ころ柿の里)にて」 本間 芳勝さん【武蔵野支部】
佳作「仏・ヴェルサイユ宮殿を歩く」 橋美壽々さん【武蔵野支部】

◆スナップの部

特選「孫とシャボン玉」 長南 健一さん【墨田支部】
1席「ヨッシャ!あとはまかせろ!」 野津 俊夫さん【練馬支部】
2席「サイドミラーの中に」 芳井 武さん【葛飾支部】
3席「仲間入り」 久保 猛磯さん【西多摩支部】
佳作「初めての運動会」 平尾 敏之さん【小平支部】
佳作「嵐吹き墓荒し」 石島 弘さん【東村山支部】
佳作「夢未来」 駒形 光男さん【墨田支部】
佳作「ゴリラにつぶされる!」 石井 きみ子さん【武蔵野支部】
佳作「絆A」 菊池 喜枝子さん【清瀬久留米支部】
<支部厚生文化部長選>(佳作入選者は順不同〉

◆わが家の家族・ペットの部

特選「私の守りたいもの」 白倉 和行さん【多摩西部支部】
1席「ひなたぼっこA」 安藤 愼一 さん【豊島支部】
2席「サラダボールに入った気分は」 齋藤 正裕さん【東村山支部】
3席「ともだち」 堀田 稔さん【武蔵野支部】
佳作「語らい」 岸田 俊男さん【葛飾支部】
佳作「あずき」 平尾 敏之 さん【小平支部】
佳作「愛犬「かんな」のスマイル」 原島 正義さん【西多摩支部】
佳作「ボクの相棒」 森田 由紀さん【東村山支部】
佳作「募金活動中」 野村 明雄さん【日野支部】

選評 関 次男

【組合活動】の部

特選「仲よくデモ行進」

 心温まるいい写真です。作者のコメントにもありますが、本当に羨ましい光景です。少し照れているようなお二人の表情に好感が持たれます。逆光気味の条件でストロボ光が効果的に当たっています。しっかりと繋いだお互いの手をポイントにして、デモ参加者を背景に写し込んだあたり、狙いのはっきりした良い写真です。

1席「署名にご協力ください」

 単なる署名活動風景ではなく、二人の間で交わされている会話が聞こえてくるようです。この写真もストロボを発光させることで、署名する人の力の入った手元がしっかりと写されるとともに、背景から二人を浮かび上がらせるなどの効果を増しています。

2席「分会もちつき大会子供達に夢を」

 つき手の大人たちとそれを見守る子供たちの取り合わせ、餅が宙に飛んだタイミングもいいです。"がんばれ!"の声が聞こえてくるようです。もう少しカメラを左に振って杵を持った人も入れると、狙いがもっとはっきりしたと思います。

3席「伊豆熱川でカンカン娘?公演」

 いわゆる記念写真ですが、人物だけではなく、その場所が想像できるように周りを少し写し込んだところがいいです。食べ残しの刺身の舟盛りやビール瓶が効果的に写し込まれています。何よりもモデルが魅力的です。
「選評」
 この部門も回を重ねる毎に、行事や行動を写す場合でも、その形や様子だけでなく、そこに参加した人たちの気分や感情といったものに注目してシャッターを押している写真が多くなっているようです。様子や形が必要な時もあると思いますが、その場合でも最小限にとどめるとよいと思います。その点「特選」の写真などは成功した良い例だと思います。
 「組合活動」という部門名のせいか、まだ"組織活動"というものに偏っているようです。もっと気軽に"組合員さんの紹介"位に考えてもよいのではないでしょうか。そうすることで、「東京土建」の生き生きとした姿が見えてくると思います。そんなことに期待したいと思います。

【スナップの部】

特選「孫とシャボン玉」

 何と言っても子供たちの表情がいいですね。キャッキャという叫び声が聞こえてきます。そして、画面いっぱいにちりばめられたシャボン玉が、とかく煩くなりがちな背景の家並みを弱めてくれました。作者も一緒になって楽しんだから撮れたという一枚だと思います。夢中になぬことの大切さを教えてくれる写真です。

1席「ヨッシャ!あとはまかせろ!」

 力の入った写真です。シャッターチャンスもフレーミングもいいです。望遠気味のレンズで圧縮された画面も効果的でした。惜しむらくは、足元が切れてしまったことです。全部入っていたらもっと迫力が出たと思います。

2席「サイドミラーの中に」

 面白い写真です。歩行者では絶対に見られない、運転者だけの世界を見せていただきました。運転席の計器類を写し込んだことで画面に変化が出ました。オヤッと思ったり、エッと思ったりした時がシャッターチャンス。そんな写真です。

3席「仲間入り」

 温かい写真です。特に、おねぃちゃんの表情がなんともいいですね。それと、おばあちゃんの顔を少し入れたことで、写真に締まりがでました。三人それぞれの視線の違いも、それぞれの気持ちを表しているようで面白いです。
「選評」
 最近のデジタルの進化は、総カメラマンの時代をつくりだしました。何時でも何処でも、誰でもがカメラマンになれる時代です。思ってもいなかったことに出会った時、それを記録しておきたい。誰もが思うことです。それが今はできるのです。今回は、そんな写真を多く見せていただきました。例えば、「サイドミラー‥」や「嵐吹き墓荒らし」(佳作)など。カメラを持っていたからこそのものです。
ただ、漫然と写しただけでは人に伝わりません。それは、人間の眼とカメラの眼が違うからです。人間の"見る"は、関心のあるものだけを見る・見えるに反して、カメラは意識に関係なく守備範囲のものはすべて写してしまいます。写真を撮るときは、関心のあるものを重点にしてそれが人に伝わるように撮るとよいでしょう。

【風景の部】

特選「御岳渓谷の春」

 ベテランの技術を駆使した巧い写真です。そのまま撮ると穏やかな"春うらら"という写真になったと思われますが、スローシャッターで川に動きを出すことによって、激しい流れと川音が聞こえるような写真をものにしました。空の青を入れることで桜の花も引き立ちました。

1席「池のほとりで」

 逆光をうまく利用した写真です。影を取り入れることで人物をより大きく見せて、目線を人物に誘導するという巧い撮り方です。中心の家族連れの子供がポイントとなって穏やかな公園の様子が伝わってきます。

2席「あまやどり」

 雰囲気のあるいい写真です。黄色いバイクが効いています。観る者を山奥に連れて行ってくれるようです。ただ、左の標識が場所の説明をしてしまいました。なければもっと雨音が聞こえてきたと思います。

3席「東京都のボランティア無料奉仕です」

 ズバッと撮ったところがいいです。題名に分かりずらいところがありますが、樹木の生命力を感じさせる面白い写真だと思います。確かに東京都のマークを抱え込んではいますが‥。
「選評」
 今回は今までにないような写真に出会いました。カレンダーなどではよく見かける写真ですが、スローシャッターを使用した「御岳渓谷の春」や、一般に写真にはならないと思われるような「あまやどり」など、対象の魅力を写すということに止まらずそれを超えて、対象に出会った時の作者の気分や感情をも写真に写そうとしていることです。前回にも一部そのような写真がありましたが‥。
  対象の持っている魅力を写真にすることはもちろんですが、一歩進んでその時受けた作者の気分や感情を加味して写すと、写真の魅力が深まり観る人により強く伝わるものです。

[総評]
 全体の感想として、年々対象と作者との関係を感じさせられる写真が増えてきていると思います。そんな中で「風景の部」は、数は多いのですが、そのような写真の割合が年々減っているように思います。それは、"撮りやすいが難しい"のが風景写真だといわれる分野だからでしょう。撮りやすいからこそ「独自の眼・視点」が求められます。そんな中でも結果的には、他の部門同様上位の写真に見られるような魅力ある写真を見せていただきました。
 昨年は、「3・11東日本大震災」と福島の原発事故という、とんでもない災害に見舞われました。写真に関してもその見方や認識が大きく変わったように思われます。アメリカの「9・11」と同じように、"在るモノが在り続ける"というこれまでの"思い"に疑問符が付けられたからでしょう。
 3・11以後のニュースの中で、回収された写真を一枚一枚冷水で丁寧に洗っている女性の"この中に(だけ)私たちのマチがあるんです"との言葉に衝撃をうけた。写真が単なる記録ではなく、そこには家族や友人・仲間、マチや故郷が写されていて、これ迄のそれぞれの"人生が"写し込まれているのだ。それらの写真を通じて記憶を呼び起こし、それが生きる希望につながるのだということです。
 私も被災地でそんな写真に数多く出合いました。写真も人の生き方と無関係ではない・そのものなんだということだと思います。そんな写真を沢山撮って、沢山見せて頂きたいと思います。

以上