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第33回 仲間の作品コンクール 結果発表!

俳句の部

<田中 千恵子 選>

銅賞 銀賞 金賞
扇風機うなる昭和の重き音 地下足袋の魚の目なげく冬日かな 老工の手の節くれも冬休み

 
年の瀬に化粧直しの臼と杵 銀杏の列国会の空に突き刺り この地球の重さそのまま吊るヘチマ 初仕事日の出を待てず家を出る 神前に手斧初めの木葉とぶ

金賞

老工の手の節くれも冬休み 西村 明夫さん(調布支部)

選評

 新年をひかえた年の瀬、仕事がまわってこない。冬休みの子供たちの遊び声がする中、この節くれ立った手も「冬休み」にするしかないのだろうか。年老いたとはいえ腕は確かなのに。「老工」の切実な声が聞えてくる作品である。

銀賞

地下足袋の魚の目なげく冬日かな 田中 明さん(大田支部)

選評

 地下足袋は自分の皮ふと同じように、自在に動く仕事足袋である。が、足に「魚の目」が出来てしまって痛い。さてさて困ったことだ。現場職人のリアルな姿。

銅賞

扇風機うなる昭和の重き音 関谷 博さん(江東支部)

選評

 昭和が終って、平成は29年になる。エアコンの時代だが、まだ使える「扇風機」を回すと昭和がよみがえる。家族も友人も知人も、多くの人が戦争で亡くなった。「重き音」のあの時代に、決して戻してはならない。

佳作

神前に手斧(ちょうな)初めの木葉(こっぱ)とぶ 渡辺 睦男さん(江戸川支部)
初仕事日の出を待てず家を出る 小川 隆志さん(荒川支部)
この地球(ほし)の重さそのまま吊るヘチマ 坂本 正美さん(三鷹武蔵野支部)
銀杏の列国会の空に突き刺り 神田 春之さん(足立支部)
年の瀬に化粧直しの臼と杵 山田 弘治さん(足立支部)

選評

一句目、新年になっての初仕事。削られた「木葉とぶ」がすがしい。
二句目、年頭の力み。今年も頑張るぞーの気合満々。
三句目、ヘチマは「地球の重さ」で吊りさがっているのだ、の発想が新鮮。
四句目、「国会の空に突き刺」る「銀杏」は、私たちのくらしの拳でもある。
五句目、「化粧直し」がういういしい。さあ、正月餅を搗こう。

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