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第33回 仲間の作品コンクール 結果発表!

短歌の部

<碓田 のぼる 選>

銅賞 銀賞 金賞
新築の三階建ての家ならび 子らの声湧く町の若やぎ 足ひきて急坂下る片麻痺の われに肩かす孫の厚き肩 この街も樹々に電飾灯されて 馴らされてゆく「安倍」の虚言に

 
ふたりして党のポスター貼ったねえ 柩に眠る頬に手を当つ 支払いの常に遅れる建築会社より 突如民事再生法の通達の来る 刻こくと線量計の針うごく ふくしま浪江を車にはしる みどりごの孫抱きしめてこの子らの 世は平和なれと祈るばかりぞ 住み馴れた我が家もすでに六十年 建て替えもせず思案錯綜

金賞

この街も樹々に電飾(でんしょく)灯(とも)されて 馴(な)らされてゆく「安倍」の虚言(きょげん)に 小野 かほるさん(西多摩支部)

選評

 「電飾」のもつ不自然さにも馴らされてゆくように、安倍首相の誠実さのない、真実からかけはなれている「虚言」に馴らされてゆくのではとの、恐れと憤りを歌っている。二つの対比が、深い所でとらえられている。

銀賞

足ひきて急坂下る片麻痺の われに肩かす孫の厚き肩 諸星 武司さん(多摩・稲城支部)

選評

 作品の呼びおこすイメージは、実にはっきりとしている。事実だけを歌っているように見えるが、ここには作者一家の生活がうかがえるのである。そして、どう生きるかが、孫にたしかに伝えられている感じがする。

銅賞

新築の三階建ての家ならび 子らの声湧く町の若やぎ 篠田 綾子さん(葛飾支部)

選評

 歌全体がいきいきしている。結句の、「町の若やぎ」は巧みである。若やぎを感ずるほど、町は衰(おとろ)え、活気を失っていたのか、と思わせる。新築の家の出現は、そこに住む人だけでなく、町を若がえらせているのである。

佳作

住み馴れた我が家もすでに六十年 建て替えもせず思案錯綜 島崎 強さん(西東京支部)
みどりごの孫抱きしめてこの子らの 世は平和なれと祈るばかりぞ 岩武 佐代子さん(多摩・稲城支部)
刻こくと線量計の針うごく ふくしま浪江を車にはしる 山田 瞳さん(北支部)
支払いの常に遅れる建築会社より 突如民事再生法の通達の来る 杉本 玲子さん(江東支部)
ふたりして党のポスター貼ったねえ 柩に眠る頬に手を当つ 山田 訓さん(北支部)

選評

 島崎作品の結句の四文字の熟語は、作者の生み出した個性的表現であろうか、なかなか面白い。
 岩代作品は、やさしさに満ちていて、素直な実感が読む人にも伝わってくる。
 山田(瞳)作品は、福島原発事故が今も終息していないという、不安と恐れを線量計の針の動きに感じている。
 杉本作品は、事実を述べながら、被害をうける立場にいるものの怒りを背後においている。
 山田(訓)作品は、ともにたたかって来た亡き人への思いが一首にしみわたっているようである。

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