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第34回 仲間の作品コンクール 結果発表!

俳句の部

<田中 千恵子 選>

銅賞 銀賞 金賞
古民家に集ふ九条鍋談義 春の路地旧家壊して昭和去る 初風呂や入れ墨ゆるき老職人

 
初氷雄鶏の声夜明け前 建て替えの更地の庭や寒椿 タンポポの絮の舞う美空米軍機 作業着の乾かぬままにしぐれけり 日短かやシルエットとなり松手入れ

金賞

初風呂や入れ墨ゆるき老職人 田中 明さん(大田支部)

選評

 ゆったりと新年の湯につかる。老職人の背中いっぱいに「入れ墨」。若い日は自慢の入れ墨だったが、いまや肌がたるみはじめている。もう入れ墨をちらつかせた威勢のよさはない。しかし、この年まで仕事を続けて来た誇りはある。老職人の枯れ切らぬ心意気が、初風呂にただよう作品である。

銀賞

春の路地旧家壊して昭和去る 日塔 善英さん(荒川支部)

選評

 平成の年号は来年4月、天皇の退位で終る。平成は31年間、昭和は64年続いたが、昭和16年に太平洋戦争が起り、20年に終戦。掲句では、昭和に建てられた家が取り壊わされたことで、昭和が終ったことをしみじみと噛みしめる作者がいる。再び日本を戦争する国にしてはならないの思いと共に。

銅賞

古民家に集ふ九条鍋談義 佐藤千代惠さん(西多摩支部)

選評

 憲法九条がいよいよ危ない状況になって来た。安倍政権は数を頼みに、今年に入って改憲をあからさまに口にする。鍋をかこんで「九条」を語りあう仲間たち。そんな輪を無数につくって平和憲法を守り抜こう。九条は私たちが平和で自由に生きるためにもっとも大切なものだから。

佳作

日短かやシルエットとなり松手入れ 坂本 正美さん(三鷹武蔵野支部)
作業着の乾かぬままにしぐれけり 小川 隆志さん(荒川支部)
タンポポの(じょ)の舞う美空米軍機 宮本 照代さん(西多摩支部)
建て替えの更地の庭や寒椿 西村 明夫さん(調布支部)
初氷雄鶏の声夜明け前 金谷多津子さん(江東支部

選評

1句目、あっと思った時には日が暮れている。冬は職人さん達には時が惜しまれる季節である。
2句目、「しぐれ」は降ったりやんだりする冬の雨。洗たく物が乾かないなげき。
3句目、日本の「美空」は日本のもののはずだが、アメリカが支配している。日米安保条約とは何なのだろう。
4句目、新しい家はどんなふうに建つのだろう。「寒椿」が清々しい。
5句目、早朝から仕事へ。きびしい一日の始まりである。

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