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第35回 仲間の作品コンクール 結果発表!

短歌の部

<碓田 のぼる 選>

銅賞 銀賞 金賞
災害の痛みに耐える民の背に 国は積み増す軍備の重し 青春を戦地と銃後に奪われし 父母の墓標なり撫でて洗いぬ 炎昼のどこかの現場で汗流す 息子を思いつつ水道工事見ており

 
翁長知事命をけずり辺野古の海 うめたてゆるさず海にて逝く スーパーでりんごひとつを買う老女「週に一度の贅沢なの」と 彼岸花赤く鋭く群れ咲きて 静かな山里妖しく華やぐ コンビニに買いし弁当ぶらさげて 梯子をのぼる屋根に向かいて

金賞

炎昼のどこかの現場で汗流す 息子を思いつつ水道工事見ており 小野 かほるさん(西多摩支部)

選評

 炎暑の真昼、作者の目に二つの世界が映っている。目の前の水道工事の仕事と、どこかの現場で汗だくで働くわが子とである。二つの世界は、厳しい夏の労働で結びついている。それは血のつながりでもある。わが子によせる作者の思いが、具体的に表現されている。

銀賞

青春を戦地と銃後に奪われし 父母の墓標なり撫でて洗いぬ 二瓶 誠一さん(江戸川支部)

選評

 戦争の時代、戦地と銃後にその生活を奪われた父と母であった。それを回想しながら、父母の墓標を洗う作者。結句の「撫でて洗いぬ」に、父母へのいとしみと、再び戦争をしようとする国づくりの政治に、静かだが抵抗の抒情がある。

銅賞

災害の痛みに耐える民の背に 国は積み増す軍備の重し 篠田 綾子さん(葛飾支部)

選評

 災害の相つぐ日本列島に苦しい生活を耐えている国民生活をふみにじって、軍拡一途に走る政治への抗議である。「国は積み増す軍備の重し」の下句は、巧みである。上句は作者自身の具体的生活を歌えば、この下句はもっと力を持とう。

佳作

コンビニに買いし弁当ぶらさげて 梯子をのぼる屋根に向かいて 山田 訓さん(北支部)

選評

 作品は具体的で、イメージは鮮明である。さりげなく歌われながら、生活の背景と労働の姿をリアルに写している。結句、作品世界を小さくしている点が惜しい。

彼岸花赤く鋭く群れ咲きて 静かな山里妖しく華やぐ 諸星 武司さん(多摩・稲城支部)

選評

 彼岸花を正面から歌っている。三句までで、彼岸花はほぼとらえ切っていよう。それだけに下句の工夫が期待される所。結句が上句の補足のような感じをあたえる。

スーパーでりんごひとつを買う老女「週に一度の贅沢なの」と 岩武 佐代子さん(多摩・稲城支部)

選評

 老女のつつましい生活、またそれに向ける作者のあたたかな、まなざしを感ずる歌である。結句「と」の先にある作者の感動をもう一歩歌ってほしかった。

翁長知事命をけずり辺野古の海 うめたてゆるさず海にて逝く 山田 瞳さん(北支部)

選評

 翁長知事の命をかけたたたかいへの追慕である。作者のその意図は明確であるが、もう一歩、事がらの表層を破って、作者の内部の感動をとり出して見せてほしい。

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